あらすじ
前回(位相(実数))のところで全体集合を\(\mathbb{R}\)とし次のような\(\mathcal{O}\)を考えた。
これが位相になるかどうかを位相の定義に従い、チェックしていった。
(1)(2)はクリアできたのだが、(3)で次のような例の場合にクリアできず、失敗に終わった。
前回はせっかく(1)(2)を満たしたのに「\(\mathcal{O}\)は位相にはならない。はい、おしまい」
としてしまっては寂しいというところまでで終わった。
しかし、これは今回学ぶ基底にはなることができる。
では、基底とはどういうものなのかというのを探っていく。
基底とは
基底といえば線型代数のことを思い浮かべる方もいるかもしれない。
定義は異なるが、基底が持つ役割は一緒である。
線型代数での例で考える。
\(\mathbb{R}^2\)について\((1,0),(0,1)\)は基底になるのだった。
これは、「\(\mathbb{R}^2\)のどんな点でもこの2点のスカラー倍でかけますよ。」という意味だった。
そのことを理解すると、\((3,1),(1,100)\)も基底になることができるし、他にも基底は作れる。
(高校では、これを斜交座標として習った。)
さて、ここでの基底の役割とは「平面\(\mathbb{R}^2\)という世界の骨組みを作っている。」というイメージだ。
もちろん、平面に\(\mathbb{R}^2\)には無限個点があるのだが、それをたった2点で表すことができるということに価値がある。
基底は「ある世界の骨組みを作っている」というイメージが重要。
位相における基底
それを踏まえて、位相における基底の定義をもう一度みていく。
今回は「位相\(\mathcal{O}\)の骨組みを作っている。」とイメージする。
(1)の条件
(1)\(\mathcal{B}\subset \mathcal{O}\)
平面\(\mathbb{R}^2\)の時に、\((1,0),(0,1)\)の2点で全てが表せることに凄みを感じた。
今回も同様に\(\mathcal{O}\)より濃度が小さいのに\(\mathcal{B}\)で\(\mathcal{O}\)の全てを表せると主張する。
そのために濃度が小さいことを(1)で条件づけている。
(2)の条件
(2)\(^{\forall}B_1,B_2\in \mathcal{B}\)について\(B_1\cap B_2 \in \mathcal{B}\)
これは位相の条件の(2)に対応するところ。基底は世界の骨組みである。
作った世界にエラーが生じてしまうことは避けなければならないので、条件として加えている。
(3)の条件
(3)\(]^{\forall} O \in \mathcal{O}\)について\(\exists \{B_\lambda \}_{\lambda \in \Lambda} \subset \mathcal{B} \hspace{2mm}s.t.\hspace{2mm}O=\cup_{\lambda \in \Lambda}B_\lambda\)
今回の基底の定義で1番肝となるところだ。
何度も確認しているが、基底は世界を作る骨組みのようなイメージだ。
\(\mathbb{R}^2\)を基底で作る際には、
「\(\mathbb{R}^2\)のどんな点でもこの2点のスカラー倍でかけますよ。」
という形で作っていた。
今回位相\(\mathcal{O}\)を
「\(\mathcal{O}\)のどんな要素(開集合)でも基底の要素の和集合でかけますよ。」
という風に基底を意味づけている。
(3)ではこのことをいっている。
おまけ
これにより、基底というものをおさえることができた。
しかし私たちの問題提起は、以下が\(\mathbb{R}\)のどんな役割なのかということだ。
これは基底の定義の(2)は満たしているが、(1)(3)とはそもそもの位相が明らかになっていないため
検討しようがない。
そこで、「基底という骨組みさえ作ってしまえば、後の位相は一意に決まるのだろうか」
ということを次回は確かめていく。
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