位相における道連結

位相幾何学
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道連結を考える理由

連結という概念は非連結の否定をすることによって、定義した。(詳しくは連結)

非連結とは「世界を二分できる」というイメージだったが、
連結はそれの否定だからどんな開集合をとってきても世界を二分できないというものだった。

存在しないことを示すことは中々難しい。

そのため、道連結というアイディアによってこのもどかしさを解決する。

道連結の定義
道連結

\((X,\mathcal{O})\)を位相空間とする。

\((X,\mathcal{O})\)が道連結(弧状連結)であるとは以下の条件を満たすこと。

\(^{\forall}x_0,x_1 \in X\)について\(^{\exists}\alpha :I \rightarrow X\)(連続写像)\(\hspace{2mm}s.t.\hspace{2mm}\alpha (0)=x_0\hspace{2mm},\hspace{2mm} \alpha (1)=x_1\)

この\(\alpha \)を\(x_0\)から\(x_1\)へのとよぶ。\(\hspace{3mm}\alpha (0)\)を\(\alpha \)の始点、\(\alpha (1)\)を\(\alpha\)の終点とよぶ。

このように「世界から好きに2点とってきて、そこにルートをつなげるか」ということを考える。

これが、どうして連結を示すことに関して便利であるかは以下の定理でわかる。

定理

\((X,\mathcal{O})\)を位相空間とする。

\((X,\mathcal{O})\)が道連結(弧状連結)ならば、連結。

これにより位相空間が連結かどうか調べたいときは、
最初に道連結かどうかを調べて、道連結だったら連結と結論づけることができる。

証明には2つの補題が必要なので、今回はその2つを準備する。

補題1

補題1)連続写像の像の連結性

\((X,\mathcal{O}_X),(Y,\mathcal{O}_Y)\)を位相空間とし、連続写像\(f:X \rightarrow Y\)を考える。

\(X\)が連結ならば、\(f(X)\)も連結

(証明)

\(f(X)\)が非連結と仮定して、背理法で示す。

\(^{\exists}U,V \in f(X)\hspace{2mm}(U \neq \emptyset ,V \neq \emptyset )\hspace{2mm}s.t.\hspace{2mm}U \cup V=f(X) ,U \cap V =\emptyset \)が仮定。

この時\(f\)が連続であるから、\(f^{-1}(U),f^{-1}(V)\)は\(X\)で開集合で以下のことが成り立つ。

\(f^{-1}(U) \neq \emptyset ,f^{-1}(V) \neq \emptyset ,f^{-1}(U) \cup f^{-1}(V)=X,f^{-1}(U) \cap f^{-1}(V)=\emptyset \)

しかし、これは\(X\)が連結であることに矛盾。よって示された。

補題2

補題2) ユークリッド距離空間\((\mathbb{R},d)\)を考える。

任意の区間\([a,b]\)は連結。

(証明)

区間\([a,b]\)は非連結と仮定し、背理法で示す。

\(^{\exists}U,V \in [a,b]\hspace{2mm}(U \neq \emptyset ,V \neq \emptyset )\hspace{2mm}s.t.\hspace{2mm}U \cup V=[a,b] ,U \cap V =\emptyset \)が仮定。

この時,\([a,b]\)は閉集合で、\(U=[a,b]- V,V=[a,b]-U\)と書けるので,\(U,V\)は閉集合。

\(a\)は\(U,V\)のどちらかに入っているので、\(b\in V\)として十分。

ここで,\(\gamma =\inf V\)とする。この時、\(V\)は閉集合であるから\(\gamma \in V\)

また、下限の性質から\([a,\gamma )\cap V =\emptyset \)が成り立つ。

これより\([a,\gamma )\subset U\)となる。また、\(U\)は閉集合だから\([a,\gamma ]\subset U\)

よって\(\gamma \in U\)かつ\(\gamma \in V\)である。

しかしこれは、\(U \cap V =\emptyset\)であることに矛盾。

したがって区間\([a,b]\)は連結。

おまけ

今回は道連結の定義と道連結ならば連結であるという証明に必要な補題を証明した。

次回はいよいよ定理を証明する。

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