コンパクトと連続 第二回

位相幾何学
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あらすじ

位相空間では、位相における性質かどうかということを重要視する。
それは、「同相である位相空間なら同じように性質が成り立つ。」と言い換えられる。

同相の定義は以下のようであった。(詳しくは位相空間が同相)

位相空間が同相

\((X,\mathcal{O}_X),(Y,\mathcal{O}_Y)\)をどちらも位相空間とし、\(f:X \rightarrow Y\)を考える。

\(f\)が同相写像であるとは、以下の3つの条件を満たすこと。
(1)\(f\)が全単射であること。
(2)\(f\)が連続であること。
(3)逆写像\(f^{-1}\)が連続であること。

\((X,\mathcal{O}_X),(Y,\mathcal{O}_Y)\)が同相であるとは、2つの位相空間に同相写像が存在することをいう。

同相の定義をみてみると、連続という概念がものすごく重要視される。
そのため、位相空間論で性質と連続との繋がりを探るというのは非常に値打ちのあることだ。

そして現在コンパクトという性質と連続の繋がりを以下のように予想を立てて探っている。

\((X,\mathcal{O}_X),(Y,\mathcal{O}_Y)\)を位相空間として連続写像\(f:X \rightarrow Y\)を定める。

(1)\((X,\mathcal{O}_X)\)がコンパクトならば、\((Y,\mathcal{O}_Y)\)もコンパクトか。

(2)\((Y,\mathcal{O}_Y)\)がコンパクトならば、\((X,\mathcal{O}_X)\)もコンパクトか。

前回は(1)について考察した。(詳しくはコンパクト性と連続

今回は(2)について考察していく。

(2)コンパクトと連続

\((X,\mathcal{O}_X),(Y,\mathcal{O}_Y)\)を位相空間として連続写像\(f:X \rightarrow Y\)を定める。

(2)\((Y,\mathcal{O}_Y)\)がコンパクトならば、\((X,\mathcal{O}_X)\)もコンパクトか。

極端な例を考えれば、すぐ予想が外れていることがわかる。

\(X=\mathbb{R},\mathcal{O}_X\)は離散位相,\(Y=\mathbb{R},\mathcal{O}_Y\)は密着位相と定める。

そして\(f:X \rightarrow Y\)を\(f(x)=x\)と定めると\(f\)は連続である。

しかし\((Y,\mathcal{O}_Y)\)はコンパクトだが、\((X,\mathcal{O}_X)\)はコンパクトでないことがわかる。

これによって予想が成り立たないことがわかった。

今回の例は\(f\)は連続に加え、困ったことに全単射という条件もついている。

このせいで全射や単射という条件を付けたとしても成り立たないことがわかる。

そこで写像に付け加える条件として開写像を考えてみる。

(2)+開写像

\((X,\mathcal{O}_X),(Y,\mathcal{O}_Y)\)を位相空間として連続写像かつ開写像\(f:X \rightarrow Y\)を定める。

(2)\((Y,\mathcal{O}_Y)\)がコンパクトならば、\((X,\mathcal{O}_X)\)もコンパクトか。

さて、\((X,\mathcal{O}_X)\)がコンパクトであるかのチェックをしたいので
1手目は好きに\(X\)の開被覆\(\{O_\lambda |\lambda \in \Lambda \}\)をとってくることだ。

そして示すべきゴールは、この開被覆\(\{O_\lambda |\lambda \in \Lambda \}\)が有限部分開被覆を持つことだ。

\(^{\forall}\{O_\lambda |\lambda \in \Lambda \}:X\)の開被覆について考える。

さて\(X\)では打つてないので、\(Y\)に話を移す。
\(f\) は開写像なので、\(^{\forall}O_\lambda \in \{ O_\lambda | \lambda \in \Lambda \}\)について\(f(O_\lambda )\in \mathcal{O}_Y\)となる。

ここで\(Y\)のコンパクト性を発動したいが、残念ながら\(\{f(O_{\lambda })| \lambda \in \Lambda\}\)は\(Y\)の開被覆になるとは限らない。

そこで、\(f\)を全射という条件を付与することでこの問題は解決される。

こうすることで\(\{f(O_{\lambda })| \lambda \in \Lambda\}\)が\(Y\)の開被覆となる。
これより、\(\{f(O_{\lambda })| \lambda \in \Lambda\}\)は有限部分開被覆\(\{f(O_{i})| i=1,2,3,\cdots ,n\}\)を持つ。

よって\(Y=\cup_{i=1,2,3,\cdots ,n} f(O_{i})\)だから\(f^{-1}(Y)=X\)であることを使うと、\(X=f^{-1}(\cup_{i=1,2,3,\cdots ,n} f(O_{i}))=\cup_{i=1,2,3,\cdots ,n} f^{-1}(f(O_{i}))=\cup_{i=1,2,3,\cdots ,n}O_i\)
(注意! 最後の等号は一般には言えない。\(f\)が全射であることが効いている。)

\(\{O_{i}| i=1,2,3,\cdots ,n\}\)は\(\{O_\lambda |\lambda \in \Lambda \}\)の有限部分開被覆となる。

よってXもコンパクトとなる。

これよりまとめると以下のようになる。

コンパクトと連続

\((X,\mathcal{O}_X),(Y,\mathcal{O}_Y)\)を位相空間とし全射連続写像かつ開写像\(f:X \rightarrow Y\)を定める。

\((Y,\mathcal{O}_Y)\)がコンパクトならば、\((X,\mathcal{O}_X)\)もコンパクトである。

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