位相の定義を以下に示す。(位相についての詳しい解説はこちら。)
この掴みづらい位相の定義を具体例を確認しながら、理解していくことが今回の目標である。
1番の位相のポイントは、位相の要素は部分集合であることである。
具体例(1)
全体集合Xを{桃太郎,猿,キジ,犬,鬼}とする。
ここで位相のポイントをもう一度押さえておくと、位相の要素は部分集合である。
位相\(\mathcal{O}\)を以下のように定める。
位相\(\mathcal{O}=\){\(\emptyset\),{桃太郎,鬼},{猿,キジ,犬},{猿},{桃太郎,猿}{桃太郎,鬼,猿},{桃太郎,猿,キジ,犬},X}
このように位相の要素は部分集合であるから、{猿,キジ,犬}の動物グループや{桃太郎,猿,キジ,犬}の鬼退治グループなどグループが要素となる。
この位相\(\mathcal{O}\)がちゃんと位相になっているかをチェックしよう。
この(1)~(3)をチェックしていく。
(1)のチェック
(1)\( \emptyset ,X \in \mathcal{O}\)
X={桃太郎,猿,キジ,犬,鬼}
位相\(\mathcal{O}=\){\(\emptyset\),{桃太郎,鬼},{猿,キジ,犬},{猿},{桃太郎,猿}{桃太郎,鬼,猿},{桃太郎,猿,キジ,犬},X}
(1)では位相に空集合と全体集合が入っていることを確認すれば良い。
位相をみるとどちらも入っているので、(1)はOK.
このように(1)のチェックは簡単だが、(2)(3)から本腰をいれる必要がある。
(2)のチェック
(2)\(^{\forall}O_1,O_2 \in \mathcal{O}\)について\(O_1 \cap O_2 \in \mathcal{O}\)
X={桃太郎,猿,キジ,犬,鬼}
位相\(\mathcal{O}=\){\(\emptyset\),{桃太郎,鬼},{猿,キジ,犬},{猿},{桃太郎,猿}{桃太郎,鬼,猿},{桃太郎,猿,キジ,犬}{桃太郎},X}(2023/12/18一部修正)
(2)では位相から任意に2つ選んだときに、その交わりが位相に入っていることを確認すれば良い。
試しに、{桃太郎,鬼,猿}と{猿,キジ,犬}の2つを選んで試してみよう。
{桃太郎,鬼,猿}\(\cap\){猿,キジ,犬}は{猿}となる。{猿}は位相の4番目の要素として入っているのでOK.
このように2つ好きに選んで結果が位相の要素として入っていることを全て確認してみて欲しい。
確認できたら(2)もチェックできた。
(3)のチェック
(3)\(^{\forall}\{O_\lambda \}_{\lambda \in \Lambda} \subset \mathcal{O}\)について\( \cup_{\lambda \in \Lambda} O_\lambda \in \mathcal{O}\)
X={桃太郎,猿,キジ,犬,鬼}
位相\(\mathcal{O}=\){\(\emptyset\),{桃太郎,鬼},{猿,キジ,犬},{猿},{桃太郎,猿}{桃太郎,鬼,猿},{桃太郎,猿,キジ,犬},X}
(3)では位相から要素を好きな個数とり合体したものが位相の要素になることを確認すれば良い。
試しに{桃太郎,鬼},{猿},{桃太郎,猿,キジ,犬}の3つで試してみよう。
これを合体させると(和集合をとると){桃太郎,猿,キジ,犬,鬼}となる。
一見すると,これは位相\(\mathcal{O}\)の中にないように思えるが、Xのことだ。
よって和集合がきちんと入っていることがわかる。
(2)と同様に好きな個数選んで結果が位相の要素として入っていることを全て確認してみて欲しい。
確認できたら(1)~(3)の条件を\(\mathcal{O}\)が満たしていることがわかるので、
\(\mathcal{O}\)は位相になりえる。
このように位相を確かめることができる。
おまけ
X={桃太郎,猿,キジ,犬,鬼}は今回の例と別の位相を与えることができる。
他にどんな位相を与えることができるだろうか。
コメント
{∅,{桃太郎,鬼},{猿,キジ,犬},{猿},{桃太郎,猿}{桃太郎,鬼,猿},{桃太郎,猿,キジ,犬},X}
ここから{桃太郎,鬼}と{桃太郎,猿,キジ,犬}のANDを取る事を考えると、{桃太郎}は必要だと思いますが、部分集合族に入っていないのはミスでしょうか?
コメントありがとうございます.
おっしゃる通りです.ご指摘いただきましてありがとうございました.
上記のコメントを踏まえまして修正いたしました.
今後ともよろしくお願いいたします.