集合論 イントロダクション

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集合

位相空間の話をするときに、
もっと恐れずいうと現代の数学を語るときに欠かせないのがこの集合論の知識である。

集合論といえば、高校生のころでは、「集合と論理」という単元で出てきた。

「あのセンター試験でも10点も内容な単元が現代の数学の基礎となる!?」
ということは、私にとって大学で初めて集合論を学んだときに1番の驚きだった。

しかし、三角関数や指数対数などが例としてあがる関数も一般化すれば、写像というものであり、
写像というものは集合論のキーワードだ。

確率も根元事象という言葉を用いて定義するが、あれだって集合の考え方を用いているし、
整数という単元や複素数という単元も整数全体の集合、複素数全体の集合について学んでいる。

すなわち、高校数学とも切っても切り離せない関係にあるのがこの集合論なのだ。

今回(2021/4/1)からは、この集合論について述べていく。

そのために、高校のときの集合と論理で習う事柄を細かく解説していく。

集合のおさらいと+α

集合の定義とは何かと聞かれてパッと答えられるだろうか。

高校数学の教科書(啓林館)では以下のように集合を定義している。
「それに属しているものがはっきりしているものの集まりを集合という。」

一方集合論のテキストとして使われる「数学入門シリーズ1 集合・位相入門」(著:松坂和夫)では、
「集合とは、いくつかのものをひとまとめにして考えたものの集まり」と定義している。

このことからもわかるように集合論と言っておきながら、集合の定義というのは
「はっきり、ひとまとめ」などの数学らしからぬ人間の感覚頼りな定義のしかたである。

これが、現代の数学の基盤となっているというところに私は
「数学という厳密さを大切にする学問もこのニュアンスから始まるんかい。」とおかしくなる。

しかし、数学入門シリーズ1でも後から書かれているのだが、
集合に入るか入らないかははっきり決まっているというところを強調している。

だから丸バツゲームの時に境界にいる腹立つようなやつは集合論として断固として許さない。

要素

そしてこの集合の中に入っている個々のものを集合Aの要素aとよぶ。(記号:\(a\in A\))

このことをaがAに属する(Aに含まれる)という。

私個人としては、属するという風に表現する方が好きだ。(理由は後ほど。)

空集合

すなわちさっきの例を続けると、丸バツゲームの丸組とバツ組をそれぞれ集合とするなら、
要素はその組の中に入っている人たちとなる。

しかし、そうすると次のような疑問が浮かぶかもしれない。

若かりし茶茶
若かりし茶茶

あれ?問題がめちゃ簡単で丸組だけしかいない時、バツ組を集合と呼ぶのか?

ものの集まりと言っているのに、要素がないものを集合と呼ぶのかということである。

これに対し、集合論では0個の要素の集まりとみなし、集合と呼ぶという判断を下す。

この特別な集合には名前がつけられており、空集合と呼ばれる。

集合の書き方

例えば先程の「丸組の要素とは?」と聞かれた時に答え方として二つあると思われる。

1.要素を列挙する。
これは、「山田と中村と佐藤と鈴木です。」のように答えるという意味である。

この時、集合論では\(A=\{山田,中村,佐藤,鈴木\}\)というように表記する。

このことを外延的記法と呼ぶ。

2.要素の特徴をいう。

これは、「丸と答えた人たちです。」のように答えるという意味である。

この時、集合論では\(A=\{a|aは丸と答えた人たち\}\)というように表記する。

このことを内包的記法と呼ぶ。

部分集合

次からは集合と集合の関係をみていく。

集合A,BについてAから好きにとってきたaがどれもBの要素でもあった時、
AはBの部分集合であるという。(記号:\(A \subset B\))

このとき、AはBに含まれるという。

この時、AはBの部分集合であり、かつBはAの部分集合でもあるとき、AとBは等しいという。

実際に次の例をみて欲しい。

\(A=\{1,2,3,4,5\},B=\{x|xは1以上5以下の整数\}\)とする。

AはBの部分集合かどうかのチェックは、Aから好きな要素をとり、Bに入るかをチェックすれば良い。

例えば今回3をとってきたとすると、3は1以上5以下の整数になっているので、Bに属している。

残り4つについても同様にBに属しているので、今回AはBの部分集合であったとわかる。

次にBはAの部分集合かどうかをチェックする。

例えば1以上5以下の整数として4が考えられるが、それはAの中に属しているので、OK。

残りのBの要素についても同様にAに属しているので、今回はBはAの部分集合であったとわかる。

このようなときAとBは等しいという。(記号\(A=B\))

また、AはBの部分集合であり、かつAとBは等しくないとき、AはBの真部分集合という。

終わりに

集合の要素の時にチラッと
「aが含まれるという表現よりaが属するという表現の方が好きだ」といった。

それはなぜかというと集合Aと集合Bの包含関係にも「含まれる」という言葉は使われるのだ。

そのため、
「属すると言った時は集合と要素の話ですよ。含まれると言った時は集合と集合の話ですよ。」
と明瞭にした方がわかりやすいのではないかという個人的意見である。

今回は集合についてサクッと解説した。次回は命題や論理についておさらいする。

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