平面幾何の抽象幾何よりルールが厳しい。今回も定義を順にみていく。
定義の一文目
\((\mathcal{P},\mathcal{L})\)が結合幾何であるとは\( \cdots \)
抽象幾何でも書いたが、もう一度\( (\mathcal{P},\mathcal{L}) \)について言及する。
まず\( (\mathcal{P},\mathcal{L}) \)についてだが、集合\(\mathcal{P}\)は平面とよび、その要素を点とよぶ。
そして平面の中から点をいくつかチョイスして、直線 \(l\)をつくる。(\(l \subset \mathcal{P} \))。
その直線\(l\)をかき集めてきたものが、集合族\(\mathcal{L}\)となる。
条件(1)
(1)\(^{\forall}l \in \mathcal{L}\hspace{2mm} |l| \geq 2\)
抽象幾何の(3)と同じ。「どんな直線も2点以上用意してくださいね。」という意味。
直線は無限個の点でできているというイメージがあるが、結合幾何では2つの点で良い。
ここで、抽象幾何の条件(1)と比較する。(抽象幾何についてはここから。)
抽象幾何
(1)\(\hspace{3mm}|\mathcal{P}|\geq 2\)
\(l \subset \mathcal{P} \)を踏まえると、抽象幾何より条件が厳しいことがわかる。
条件(2)
(2)\(^{\forall} P,Q \in \mathcal{P} \hspace{2mm}(P \neq Q)\hspace{2mm} ^{\exists_1}l \in \mathcal{L} \hspace{2mm}s.t.\hspace{2mm}P \in l \)\(かつQ\in l\)
今回は意味を確認する前に抽象幾何の条件(2)と比較する。(抽象幾何についてはここから。)
抽象幾何
\(\hspace{3mm}^{\forall} P,Q \in \mathcal{P} \hspace{2mm}(P \neq Q) \hspace{3mm}^{\exists} l \in \mathcal{L} \hspace{3mm}s.t. \hspace{3mm}P \in l\hspace{2mm} \)かつ\(\hspace{2mm}Q \in l\)
「平面のどの2点をとってきてもその2点を通る直線が引ける。」という意味。
一見すると何が違うの?と言いたくなるが、\(^{\exists}\)と\(^{\exists_1}\)が違う。
抽象幾何が「平面のどの2点をとってきてもその2点を通る直線が引ける。」という意味に対し、
結合幾何は「平面のどの2点をとってきてもその2点を通る直線がただ一つ引ける」という意味。
このことを踏まえると、条件(2)も抽象幾何より条件が厳しいことがわかる。
さらに結合幾何の条件(1)(2)だけで抽象幾何を満たすことがわかった。
条件(3)
(3)\(^{\forall}l \in \mathcal{L}\hspace{2mm} ^{\exists}P \in \mathcal{P} \hspace{2mm}s.t.\hspace{2mm} P \notin l\)
そのまま翻訳すると「どんな直線を持ってきてもその直線にいない点が存在する。」という意味。
端的にいうと「共線的でない3点が存在する。」という意味。
結合幾何は、直線は平面として認めないませんよということをいっている。
逆にいうと、抽象幾何では直線1本で平面としちゃっていい世界なのである。
結合幾何やこれからさらに制限付きの幾何を見ていくと抽象幾何がいかに緩いかを知る。
参考文献
(1) 寺垣内 政一(2019) 『平面幾何の公理的構築』広島大学出版会
(2) Richard S.Millman and George D.Parker(1991)
『Geometry:A metric approach with models』Undergtaduate Texts in Mathematics
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