集合を繋ぐ架け橋 写像

スポンサーリンク

はじめに

突然だが次の写真でみかんとりんご、どちらが多いだろうか?

「舐めんなよ」という声が聞こえてきそうだが、一番大切なのはどう考えたかだ。

1.みかんとりんごの両方の数を数えた。
みかんは3個,りんごは4個である。よってみかんよりりんごの方が多い。

これが大人っぽい解答である。しかし、数が数えられない人にはこの質問はわからないのだろうか。

2.次の図のように考える。

こうすることで、数えられなくてもみかんよりもりんごの方が多いことがわかる。

でも私ふつーに数くらい数えられるから関係ないやん。

私たちが数を数えられると思っているのは、数を数えられる世界しか見ていないからだ。

今回で言うと、みかん全体の集合の要素の個数とりんご全体の集合の要素の個数は数えられた。

しかし例えばあなたは、実数全体の集合\(\mathbb{R}\)を数えることができるだろうか。

そうなのだ。無限集合の数は数えられない。

その無限集合同士の比較をするときに必要な考え方が2番の考え方なのである。

今回はその結び付け方、写像について学んでいく。

写像

写像

\(A,B\)をそれぞれ集合とする。\(A\)の任意の元\(a\)について,\(B\)のある元\(f(a)\)を対応させる規則\(f\)のことを

\(A\)から\(B\)への写像といい,\(f:A\rightarrow B\)と表す。

また\(f:a \mapsto f(a)\)と表す。

高校時代から慣れ親しむ関数とは実数全体の集合から実数全体の集合への写像のことである。

記号を用いて書くと、\(\mathbb{R}\rightarrow \mathbb{R}\)と書く。

次に写像について集合同士の結び付けについて2つの重要な特徴がある。

単射

単射

\(A,B\)をそれぞれ集合とする。写像\(f:A\rightarrow B\)が単射であるとは、

Aの2つの異なる元\(a,a’\)に対して常に\(f(a)=f(a’)\)となることである。

単射である例

単射でない例

全射

全射

\(A,B\)をそれぞれ集合とする。写像\(f:A\rightarrow B\)が全射であるとは、

Bの任意の元\(b\)に対して\(f(a)=b\)となる\(A\)の元\(a\)が常に存在することである。

全射である例

これは単射ではないが、全射である例となっている。

全射でない例

これは単射ではあるが全射ではない例となっている。

全単射

全単射

\(A,B\)をそれぞれ集合とする。写像\(f:A\rightarrow B\)が全単射であるとは、

\(f\)が全射でありかつ単射でもあるということだ。

最後に高校の時に習った関数で例を出しながら今回のことを振り返る。

例1)\(f_1:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R}\)\(\hspace{5mm}f_1(x)=x\)と定めると全単射となる。

例2)\(f_2:\mathbb{N} \rightarrow \mathbb{R}\)\(\hspace{5mm}f_2(x)=x\)とすると単射になる。

例3)\(g_1:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R}\)\(\hspace{5mm}g_1(x)=\tan x\)とすると全射になる。

例4)\(g_2:(-\frac{\pi}{2},\frac{\pi}{2}) \rightarrow \mathbb{R}\)\(\hspace{5mm}g_2(x)=\tan x\)とすると全単射になる。

全射と単射の定義を確認しながら見ていくと、無限集合同士の要素の紐付けの特徴がわかる。

\(\)

参考文献

集合と位相空間(2002.6.10) 森田 茂之,朝倉書店

コメント

タイトルとURLをコピーしました