今まで出てこなかったdというものと目盛関数という言葉が出てくる。
この定義を理解するためにまずは事前準備をする。
準備(1) 距離関数
計量幾何を定義するには、何をどのように計量するかを決める必要がある。
そのためにまず、距離を計量する装置として距離関数というものを定義する。
一文目は、dが平面から2点とってきて実数の値を出力する関数だということを言っている。
(1)は必ず0以上になることを言っている。
(2)は距離が0になるのは、同じ点で計った時のみということを言っている。
(3)はPからQへ距離を計っても、QからPへ距離を計っても結果は一緒だというイメージ。
(4)はPからRにまっすぐ行くのに、Qを寄り道すると遠くなるというイメージ。
私たちがイメージする距離も一文目(1)~(4)全てを満たしていることがわかるだろう。
準備(2) 目盛関数
距離を平面に入れて、それをもとに目盛を直線に導入する。
一文目は、dが平面から2点を選んで、実数の値を出力する関数なのに対し、
目盛関数のfは直線から1点を選んで、実数の値を出力する関数であることを言っている。
(1)全射は、l上の点が実数の濃度ほど存在する、すなわち無限個存在することを言っている。
(1)単射は、l上の点が実数の値と一つずつ結びついていることを言っている。
この(1)により、直線がようやく慣れ親しんできた数直線のイメージに結びつく。
(今まで結びつかなかったことについては、抽象幾何と結合幾何を参照。)
(2)目盛の引き算で距離が表されることを言っている。0以上にしたいので、絶対値がつく。
これで準備ができた。いよいよ計量幾何の定義の解説に入っていく。
計量幾何の定義
今までは\((\mathcal{P},\mathcal{L})\)と、どんな平面でどんな直線の取り方をするかというところに着目したが、
これからは、\((\mathcal{P},\mathcal{L},d)\)と、どんな距離の計り方をするかも加えて考えることを1文目で言っている。
条件では、どんな直線に対しても目盛をふれることを言っている。
計量幾何の段階で、初めて全ての直線が無限個の点を含むことが言え、それにより平面も無限個の点を含むことが言えるようになった。
おまけ
\(d:\mathcal{P}\times \mathcal{P} \rightarrow \mathbb{R}\hspace{3mm}d(P,Q)=1(P\neq Q),d(P,Q)=0(P=Q)\)となるdを考える。
この時、dは距離関数とはなるが、計量幾何の距離関数とはなり得ない。
参考文献
(1) 寺垣内 政一(2019) 『平面幾何の公理的構築』広島大学出版会
(2) Richard S.Millman and George D.Parker(1991)
『Geometry:A metric approach with models』Undergtaduate Texts in Mathematics
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