基本群とは何か?

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はじめに

私は大学2年生のときに,初めて群というものを習った.

抽象的な定義に「これが何の役に立つの?」と思わず首をかしげた.

しかしながら,この基本群を習ったときに「こんなところに群があるのか!」と驚いた.

今回はこの基本群について説明していく.

位相空間の復習

私たちの感覚では道というのは,歩いてきたその足跡のようなものとして捉える.

しかしながら位相空間論における道の定義は写像であった.

\((X,\mathcal{O})\)を位相空間とする。

\(^{\forall}x_0,x_1 \in X\)について\(^{\exists}\alpha \colon I \rightarrow X\)(連続写像)\(\hspace{2mm}s.t.\hspace{2mm}\alpha (0)=x_0\hspace{2mm},\hspace{2mm} \alpha (1)=x_1\)

この\(\alpha \)を\(x_0\)から\(x_1\)へのとよぶ。\(\hspace{3mm}\alpha (0)\)を\(\alpha \)の始点、\(\alpha (1)\)を\(\alpha\)の終点とよぶ。

基本群の定義

基本群に欠かせないループを定義する.

ループ

\((X,\mathcal{O})\)を位相空間とする。

\(^{\forall}x_0 \in X\)について\(x_0\)から\(x_0\)への道を\(x_0\) を基点とするループとよぶ。

つまり始点も終点も一緒の道をループと呼ぶ.

実はこの元を全部集めた集合にちょこっと工夫をすると群になる.

基本群

\((X,\mathcal{O})\) を位相空間とする。

\(^{\forall}x_0 \in X\) について\(x_0\) の基本群\(\pi_1(X,x_0)\)とは

\(\pi_1(X,x_0):=\{ \alpha \mid \alpha はx_0 を基点とするループ\}/_{\simeq_p}\)

のことである.

この定義を見ると,「基本群ってループを集めたものなのね.」とおおよそわかる.

しかしながらよくよく見ると\( \simeq_p\) という謎のマークがついているのがわかる.

これは道ホモトピーという同値関係だ.

難しいことは後回しにして今は
連続変形できるものは同じものとみなしましょう」と思っていただいたら大丈夫である.

これでも分かりにくいと思うので解説する.

基本群の例

こんな風にドーナツの上にループを考える.

例えば \(A\) と \(B\) は別のループだが,
\(A\)のループをスルスルと手繰り寄せると\(B\) に変形することができる.

このように「連続変形できるものは同じものとみなしましょう」
というのが基本群の元でのルールだ.

ここで\(C\) について確認してみる.

すると,\(C\) をスルスルと手繰り寄せてもドーナツが引っかかって
\(A,B\)には連続変形できない.

このことから\(C\) は違う元として取り扱う.

終わりに

ここでは基本群の定義を直観的に説明した.

しかしながらまだ疑問はいくつか残る.

例えば「基本群はどうして群になるのか?」や「途中で出てきた道ホモトピーとは?」
「そもそもなんで基本群なんか考えるの?」など色々あげられる.

このことについては次回以降解説する.

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