P.N. ichikingさんから以下のような質問をいただきました。(一部変更。)
ご質問ありがとうございます。
質問は以下から受け付けておりますので、よろしければご連絡ください。
(ご質問がある方)
おさらい
内部と閉包の定義は以下の通り。(詳しくは位相における閉集合、内部、外部、境界、閉包)
内部は開集合の最大性、閉包は閉集合の最小性というところがミソだった。
問題解説
さて、今回示すことは、\(X-A^{。}=(X-A)^{-}\)という集合が等しいことである。
集合が等しいことを示すための常套手段は
「両方の包含関係が成り立つことを示すこと」だ。
今回で言うと、\(X-A^{。}\subset (X-A)^{-}\)と\(X-A^{。}\supset (X-A)^{-}\)の両方を示せばOK.
今回は\(X-A^{。}\supset (X-A)^{-}\)の方がわかりやすいので先に示していく。
\(X-A^{。}\supset (X-A)^{-}\)
おさらいのところで確認した大切なポイントは以下の通りだった。
内部は開集合の最大性を発動でき、閉包は閉集合の最小性を発動できる。
内部の発動の仕方は以下のようになる。
開集合\(O\)と部分集合\(B\)を比較し、\(O\)が\(B\)に含まれているなら部分集合の内部を考えても包含関係は変わらない。
すなわち、\(O\subset B \Rightarrow O\subset B^{。}\)となる。
対して閉包の発動の仕方は以下のようになる。
閉集合\(C\)と部分集合\(D\)を比較し、\(D\)が\(C\)に含まれているなら部分集合の閉包を考えても包含関係は変わらない。
すなわち\(C\supset D \Rightarrow C \supset D^{-}\)となる。
このことを念頭において示したいことをもう一度みてみる。
\(X-A^{。}\supset (X-A)^{-}\)\(X-A^{。}\)は閉集合であることを踏まえて閉包の最小性のことを考えると
\(X-A^{。}\supset X-A\)ということが示せたらOK。
そうすると、あとは簡単で内部の定義から\(A^{。}\subset A\)で補集合を考えると、\(X-A^{。} \supset X-A\)となるのでOK.
解答例
内部の定義より、\(A^{。} \subset A\)で補集合をとると、\(X-A^{。} \supset X-A\)。
\(X-A^{。}\)は内部の定義から開集合の補集合、すなわち閉集合だから、閉包の最小性より\(X-A^{。} \supset (X-A)^{-}\)
次に\(X-A^{。}\subset (X-A)^{-}\)について示す。
\(X-A^{。}\subset (X-A)^{-}\)
これはなかなか解きづらい。
先ほど内部は開集合の最大性を発動でき、閉包は閉集合の最小性を発動できることを確認したが、
どちらもこのままだと発動は厳しい。
そこで、開集合の最大性を発揮するために強引に結論を同値命題に変えてみる。
\(X-A^{。}\subset (X-A)^{-} \hspace{3mm}\Leftrightarrow \hspace{3mm} X-(X-A^{。})\supset X-((X-A)^{-})\hspace{3mm}\)
\(\Leftrightarrow \hspace{3mm} A^{。}\supset X-((X-A)^{-})\)
こうすることで、\(X-((X-A)^{-})\)が開集合だということを踏まえると、内部の最小性より、
\(A\supset X-((X-A)^{-})\)が示せたらOK.
これはそれぞれ補集合をとると、\(X-A \subset (X-A)^{-}\)が成り立っていればOK.
これは閉包の定義より明らかなのでOK.
解答例
閉包の定義より\(X-A \subset (X-A)^{-}\)
補集合をとると、\(X-(X-A) \supset X-((X-A)^{-}) \hspace{3mm}\Leftrightarrow \hspace{3mm} A\supset X-((X-A)^{-}) \)
\(X-((X-A)^{-})\)は開集合で内部の最大性より\(A^{。}\supset X-((X-A)^{-})\)
補集合をとると、\(X-A^{。}\subset X- (X-((X-A)^{-}))\hspace{3mm}\Leftrightarrow \hspace{3mm}X-A^{。}\subset(X-A)^{-}\)
よって示すことができた。
おまけ
この問題は解答例をみただけではどうやってその発想思いつくの?となるものである。
しかし、示したいことは何か、仮定は何かという順番でみていくと思考の流れを理解することができると思う。
難しい問題にぶち当たったときは、示したいことは何か、仮定は何か(発動条件は何か)と考えると解ける事がある。
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